映画「怪物」 〜複数の謎についての考察〜(ネタバレあり)
カンヌ脚本賞を受賞した是枝監督の『怪物』をTOHOシネマズ川崎にて鑑賞しました。
まず言いたいことはシンプルにとても面白かった!
息子を溺愛する「シングルマザーの麦野早織(安藤サクラさん)」、「学校教師で担任の保利先生(永山瑛太さん)」、「小学五年生の湊(黒川想矢さん)」の3つの視点で物語が進むのですが、それぞれの視点によって各登場人物の見え方が大きく変わっていくことが魅力であり、とても考えさせられる内容となっています。
『怪物』というタイトルについても各視点によってその意味が大きく異なっていきます。
是枝裕和監督の映画はとにかく出演者の演技が自然でとても好きですが、特に子供たちの演技がどの作品もとてつもなく上手い。変に子供に演技をさせすぎず、やはり自然体で勝手に是枝裕和監督の真骨頂だと思っています。
また、ストーリーもさすが坂元裕二さんが脚本というだけあり、物語がどのように進んでいくのか全く想像がつかず、最後までこの後どうなるの?状態が続きました。坂本さん節の説明をしすぎない箇所も多いため、映画を見終わった後に「あそこはこうだよね!」「あれってどうゆうこと?」と色んな考え方があることもこの『怪物』の魅力だと思っています。
そこで『怪物』の中で、謎だと感じた部分を私なりに考察見てみました。
ネタバレも含む内容となっているため、既に映画を見て方がより内容を深めるために読んでいただけると幸いです。
謎① なぜ湊と依里は保利先生にいじめられたと嘘をついたのか
湊は依里へいじめのことを「保科先生へ良い先生だから相談してみては?」と提案するくらいだったので保科先生のことを悪く思っていたわけではないです。
それにも関わらず、保利先生にいじめられたと嘘をついたのは、1つは本当のことを話せば母親に依里への想いをバレてしまうからだと思います。悪気はなくとも「男らしく」という言葉や普通の結婚を望む母親の思いに対して、強い罪悪感を感じていたため言えなかった。
その嘘の内容に保利先生を選んだのは作文でも鏡文字で隠されたメッセージを送っていたように保利先生に自分達の関係を気づいて欲しかった、救って欲しかったという理由もあると思います。
それが結果的に保利先生がクビになるまでの騒動になり、さらに湊を追い込んでいくこととなります。
依里が「保利先生が湊をいじめている」と嘘をついたのは、もっと単純にいじめにも気づいてくれない、作文のメッセージにも気づかない、そのくせ大切に想っている人湊が自分をいじめていると見当違いなことを言う保利先生をよく思っていなかったためだと思います。
謎② 湊と依里は最後どうなったのか?
ラストのシーンはあえて、色々な解釈ができるような描き方になっていますが、保利先生視点のラストで明らかに台風の中、麦野早織と保利先生で湊と依里がいるはずの場所を発見しているにも関わらず、その後の二人は台風のあとの鉄橋にかかる線路に向かって草むらを走っていきます。
二人は台風の土砂崩れで亡くなったと考えるのが自然だと思います。
謎③ 放火の犯人は誰なのか?
湊に「お酒の飲み過ぎは良くないから」と話したことからもわかるように依里です。
その言葉の通りガールズバーが燃えれば父親がお酒に入り浸ることもなくなり、虐待されることもなくなると考えたのか、もしくは父親を殺そうとまでしたのかまでは定かではありませんが依里であることは間違いないと思います。
謎④ 豚の脳とは?
豚の脳とは、依里の父親が依里に対して使っていた言葉です。保利先生へまず出身大学を尋ねたことからもエリート思考が強く、他人を見下す性格の持ち主で、簡潔に言えば男らしくない依里を良く思わないことから発した最低の発言です。
しかしながら、ここまで汚い言葉でないにしても、麦野早織も、保利先生からも何度も「男らしく」という旨の発言が度々されていて、そのことが湊と依里を追いつめることとなります。
ちなみにおそらくネタバレに繋がるため、あまりメディアでも大々的には伝えられていませんが「怪物」は、今回のカンヌ国際映画祭で独立賞である「クィア・パルム賞」も受賞しています。
この賞は、LGBTやクィア(性的マイノリティ)を扱った映画に与えられる賞です。私も映画を鑑賞した後に知ったのでネタバレをせず見れてよかったと想っています。
謎⑤ 保利先生は火事の日ガールズバーにいたのか?
これは映画を見た人はまずわかると思いますが行っていません。
おそらく火事の現場近くに恋人といたことを生徒に見られ、それを聞いた親たちが尾鰭をつけてあることないこと噂を広げたのだと思われます。
同じく、湊が学校の階段から落ちた際も生徒から保利先生が落としたなどと言われていますが、当然落としていません。
いかがだったでしょうか。今回の映画「怪物」 〜複数の謎についての考察〜。
なお、今回は『TOHOシネマズ 川崎』で映画を鑑賞しましたが、川崎には多くの映画館があります。川崎市の映画館については「【2023年最新】直接訪問!川崎市の映画館 おすすめ5選!」でまとめているのでぜひ参考にして見てください!
店名 | TOHOシネマズ 川崎 |
住所 | 〒210-0007 神奈川県川崎市川崎区駅前本町8 川崎ダイス7F~9F |
アクセス | JR川崎駅東口 徒歩4分 |
電話番号 | 050-6868-5025 |
ホームページ | https://www.tohotheater.jp |
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